シンフォニー ~樹
その夜 父に言われて家に帰った樹達。
頭を駆け巡る 色々な思いで とても眠れそうにない。
「眠れなくてもいいから、ベッドで横になろう。少しでも休まないと。」
と言う翔の言葉で 部屋に引き上げて。
「恭子。本当にありがとう。辛いけど、休もうね。」
と樹は 恭子を着替えさせて 一緒に横になる。
何かを話すと 涙を溢れさせ 時々しゃくりあげる恭子を胸に抱く。
「眠れなくてもいいから 目を閉じて。」
樹は 小さな子にするように 恭子の背中を 静かに叩き続ける。
恭子は 樹の胸にしがみついたまま 言われたように 目をつぶる。
樹が 恭子の髪を撫で 背中を叩き続けるうちに 恭子の呼吸は寝息に変わる。
まだ、こんなに幼くて。
でも今日は 一生懸命頑張ってくれたね。
俺の為に。家族の為に。
恭子の寝顔を見ながら 樹は初めて涙を流す。
恭子を胸に抱き 髪に顔を付けて 一人泣きじゃくってしまう。