シンフォニー ~樹
数日後、退院した絵里加と赤ちゃん。
名前は 健吾のお父様の案で、結子《ゆうこ》と決まる。
「とても良い名前だわ。奥ゆかしくて上品で。しかも、ゆうちゃんて呼びやすいし。」
絵里加は とても気に入って “ゆうちゃん” “ゆうちゃん” と 何度も呼びかけている。
退院後、智くんの家で 静養する絵里加。
当然のように 健吾も 絵里加の家に泊まる。
昼間は お祖母様や母 恭子が しょっちゅう行って 結子に会ってくる。
「ねえ、樹さん。結ちゃん 超可愛いの。今日は 私を見て 薄っすら笑ったのよ。」
樹が帰ると、恭子は 結子のことを 夢中で話す。
「恭子は 結ちゃんの 叔母さんだからね。」樹が言うと、
「はあ。叔母さんって。私、恭子ちゃんって呼ばせるから。」
声を出して笑う樹。
「恭子、俺達も 早く赤ちゃんほしいね。」と言う。
恭子は照れた笑顔で、
「でも、そうしたら 赤ちゃんに 樹さんを取られちゃうわ。」
と可愛い返事をした。