シンフォニー ~樹
5
切ない ゴールデンウィークが終わって、また日常が戻る。
樹は今、経理課に配属して 会社のお金の流れを勉強していた。
「樹。飯食いに行こう。」
お昼に、役員室から出てきた智くんが誘う。
「はい。何を 食べますか?」
新宿の 高層ビルに入っている本社。
少し混み合うことを 我慢すれば、ランチには不自由しない。
「昼間から肉を食べると、頭が働かないから。やっぱり蕎麦かな。」
智くんは、穏やかな笑顔で言う。
今日は 父が外出していたから、智くんは樹に声を掛けた。
父がいる時、樹は 課の同僚と食事をする。