シンフォニー ~樹

お昼休み、LINEを知らせるチャイムが鳴る。

スマホを開くと 恭子からで。


《試験、終了しました》

という可愛いお知らせで、樹は苦笑してしまう。

返信が早いと 自慢していた恭子を思い出し、
 
《おめでとう。結果次第で、夏の予定が変わるね》

ちょっと意地悪な返事を送る。
 
《明日はTDLだよ》

樹の言葉を、全く無視した返信に 苦笑して
 
《お土産、待っているね》と返す。

心が温かくなって 顔がほころんでしまう。
 


「楽しそうだね。」

とランチから戻った智くんに 見つかり、
 
「やっと俺も、失恋の痛手から 脱皮できそうです。」

樹は、つい正直に 言ってしまう。

智くんは、へえ、という目で樹を見て
 
「そのうち、俺にも 紹介してくれよ。」と言う。

樹は、やっぱり苦笑してしまう。
 

「2年後くらいには、紹介したいですね。」

智くんは、怪訝な顔で 樹を見た。

でも、意外に明るい樹の目で 勘の良い智くんは 察したかもしれない。
 

「なんだよ。随分、長丁場だな。」


と笑いながら、役員室に入って行った。
 


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