シンフォニー ~樹
「そうだ、ケンケン達とスノボに行こう。朝早く出れば、日帰りできるから。」
健吾達が一緒なら、恭子の両親も安心してくれる。
「えー。私 スノボはやったことないよ。スキーならできるけど。」
恭子は不安そうに言う。
「俺が教えてあげるよ。スキーできれば、大丈夫。楽しいよ。」
恭子との雪遊びは とても楽しそうで 樹はワクワクしてしまう。
「本当?私が へたでも 笑わないでよ。」恭子の言葉に、
「大丈夫。上手くても笑っちゃうから。」と樹は言う。
「もう。ひどいなあ。」と言う恭子。
「スノボの道具、買おうね。ペアで。」
言ってから、樹は笑ってしまう。
確かに俺は、デレデレだと。
クリスマスプレゼントに 恭子は バーバリーのマフラーを 贈ってくれた。
「ありがとう。」
と感激の目で 恭子を見る樹は 上質なカシミアの柔らかな肌触りに、
「こんな高価な物。また 臨時徴収したんじゃないの。」
そっと恭子の肩を抱いて言う。
「大丈夫、してないよ。私 いつも樹さんに ご馳走してもらっているから。お小遣い 余っているの。それにこれ 私のと お揃いなんだ。」
恭子は、恥ずかしそうに笑う。
樹も苦笑して、恭子を抱き寄せる。
「こっそりペアルックにされたね。」
恭子の ささやかな自己主張が愛おしくて 胸が熱くなる。
この子の願いなら 全部 叶えてあげたいと思ってしまう。
「樹さん、ペアルック 恥ずかしいって言っていたのに。いいの?」
嬉しさを抑えて聞く恭子に、
「雪山だから。いいよ。後で ケンケンに 連絡しておくね。」
恭子を甘やかすことが 樹を一層 幸せな気持ちにする。