シンフォニー ~樹
海外を予約するには 時間は無く 樹は 二人が初めて遠出した 八ヶ岳のリゾナーレを予約した。
朝 恭子のお母さんに見送られ 出発した二人。
「樹さんと 朝まで ずっと一緒にいられるんだよ。最高。」
恭子は無邪気にはしゃいでいる。
初めての夜だから。
まだ幼い恭子だから 樹は少し 戸惑いもあった。
優しく恭子を導くことができるのか。
恭子は怖がらないだろうか。
「朝まで 眠らないで ずっとキスしてあげるね。」
樹は 恭子の髪を 撫でながら言う。
「それで 昼間 眠るんでしょう。」
恭子は横目で樹を見る。
可愛くて 樹は 声を上げて 笑ってしまう。
「恭子、怖くないの。」
車の中 明るくはしゃぐ恭子に 樹は そっと聞いてみる。
「少しは 怖いけど。でも樹さんだから。」
と言って 恭子は肩をすくめた。
怖くないわけはない。
好奇心旺盛な恭子だから 興味津々で 不安を打ち消しているのだろう。