如月くんは私をひとりじめしたい


如月くんなら女の子たちにお祝いされてるような気がするけどな。

笹山くんはいつになく真剣な表情で、それが本当だということが感じられた。


「小春ちゃんも知ってるんだよね。あいつの家庭事情」

「うん」

「あいつは“最愛の人”に祝われる喜びを知らないんだよ」

「……歴代の彼女さんたちは?」

「あの人たちは如月っちを顔でしか見てなくて性格を知った途端、離れていったんだ。だから、家庭のことも全部知らないんだよ」


そうだったんだ。

だから、如月くんは怖がってたんだね。

私が離れていくと思って。
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