如月くんは私をひとりじめしたい
「じゃあするよ」
「うん」
私は如月くんの唇をじっと見てから、背伸びした。
そしてそのまま唇を重ねようとした――。
ガチャ。
玄関の扉が開いた音がした。誰か来たのだ。
私は恥ずかしさで顔をそらし、如月くんは慌てて玄関に向かった。
私、なんてことしようとしたんだろう…。
冷静になってみると勢いでキスすると言った自分が恥ずかしくなった。
「小春ちゃん、ちょっと僕の部屋に行ってて」
暗い顔をした如月くんの後ろから、如月くんそっくりの綺麗な女の人が出てきた。
もしかして、如月くんのお母さん?
リビングを出る間もなく、如月くんのお母さんは話しかけてきた。
「カノジョ、居たのね」
お母さんは私の顔をじっと見てから微笑んだ。
如月くんを見ると、不機嫌そうな表情をしていた。
お母さんはテーブルの上に封筒を置くと、部屋を見渡した。
「今日、あなたの誕生日なの?」
明らかに私を見て言った。
如月くんの誕生日なのにそれを覚えていないかのように。
「如月くんの誕生日です」
「そうなんだ」