如月くんは私をひとりじめしたい

お母さんと如月くんの間に柔らかい空気が流れた。

如月くんの嫌いな甘いもの、強いて言うならマカロンぐらいの甘さで雰囲気ももそんな感じの柔らかさ。

その時間は実に穏やかで優しかった。

お母さんは私を見て、涙を流しながら微笑んだ。


「安藤さん。私たちのいさこざに巻き込んでごめんなさい。きっと紫苑はあの人に似てめんどくさい性格だし、極度の寂しがり屋だから苦労することもあったと思う。それを分かった上で紫苑を大切にしてくれて本当に嬉しいわ。ありがとう」


私もそれに答えるように笑顔で話した。


「いえ、私は何も…それに大切にしてくれているのは如月くんですから。私は如月くんがいたから変われたんです。如月くんを産んでくれてありがとうございました」


お母さんは私に抱きついてきた。

ありがとう、と小声で言って。
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