如月くんは私をひとりじめしたい
店内は外観と同じくアンティークで、クラシック音楽が流れていた。
大きな本棚にはまんががずらっと並んでいて、早く読みたい衝動に駆られた。
「それにしても珍しいね。小春ちゃんがまんが喫茶行きたいなんて」
「うん、まんがはあんまり読まないんだけど、その、如月くんと付き合ってからはどうすればいいか分からないことだらけだから、参考にしてるんだ」
「そうなんだ。じゃあ、いっぱいお勉強しようね」
「う、あの、大丈夫です…」
まあ、純粋に少女まんがにはまったってこともあるんだけどね。
最近気になっている本を何冊か持ってきて、早速読むことにした。
如月くんの方を見てみると、はしゃいでいるのか、いつもより軽い足取りで本を選んでいた。
へー、如月くんってまんがに詳しいんだ。
あんまり知らなさそうなのに。
「小春ちゃんいっぱい持ってきたね」
「如月くんこそ」
如月くんの手には題名がいかにも闇が深そうな物ばかりあった。