如月くんは私をひとりじめしたい

読書が一段落着いたところで、昼ごはんを食べることにした。

私はパスタを、如月くんはドリアを頼んだ。

店内の音楽はクラシックからジャズに変わっていて、気分がうきうきした。

雑談しながら食べ終えると、如月くんはおもむろに本を戻し始めた。


「じゃあ、そろそろ行こっか」

「え?」

「最後にどうしても行きたいところがあるんだよね」


ということは、デートの最終地点に行くのか。

まだお昼なのに最後って言ったってことは、遠いところなのかな?

楽しみな気持ちでいっぱいのまま、如月くんと話しながら目的地に向かった。

すると、段々と見覚えのある風景が広がっていったことに気がついた。

あれ、もしかしてここって。


「じゃあ、ここからは目隠しね」

「え!?」

「僕が絶対小春ちゃんを守るから、僕の手を取って着いてきてよ」


「う、うん」


目隠しをしたまま、如月くんの手を握って歩いた。

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