如月くんは私をひとりじめしたい
「いらっしゃいませ!2名様ですね」
いよいよ本格的に文化祭が始まった。
うちの店はなかなか混雑していて、お客さんとクラスメイトでごった返していた。
「ねえねえ、俺らと文化祭一緒に回らない?」
「はい?」
「君可愛いじゃん。ね、暇になるまで待ってるからさ」
「あ、あの……」
何これ、もしかしてナンパ?
もう、それどころじゃないくらい忙しいのに!
「お客様、従業員のナンパは困ります。それにこの子にはカレシがいるので」
「東雲くん…」
「君、この子のカレシじゃないならでしゃばらなくてもいいじゃん。俺らはこの子と回りたいの!」
「それに見たところ、この子のカレシぽい奴はいなさそうだし!」
「……いなかったら僕のカノジョをナンパしていい理由になるわけ?」
お客さんの後ろに立っていたのは如月くんだった。