如月くんは私をひとりじめしたい

会場には悲鳴と歓声が響いていた。

私は声にならない声が出そうで、胸が苦しかった。

お願い、キスしないで。



「あの、僕は彼女がいるので辞退します」

「あ、あの……」

「私もこの男とはキスしたくない」



会場中がしらけてしまった。

司会者は困り果て、わざと明るい声でこう提案した。



「そ、そうですか…。では!如月くんは彼女さんと、山井さんはお好きな方としてくださいっ!!」



はあ!?

こんなところでキスなんて出来ないよ!!
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