松菱くんのご執心
約束と救済
*
長いコール音が続き、いよいよ出ないかなと諦めかけていたところに、
呑気な応答が返ってきた。
わたしは慌てて話し始める。
「あ、三木さんですか? わたしです。白羽根 みかさです」
「おうおう。どうした?」
三木さんはやや興奮気味な調子だった。なんで電話番号が分かったのかは聞かれていない。
わざわざ説明するのも、なんなので単刀直入に質問をぶつけた。
「松菱くんが学校来てなくて、あの、何かご存じですか?」
「え? そうなのか。いや、なんも知らねえな。
………それで、あいつには電話したんだよな?」
「はい。したんですけど出てくれなくて……」
「まあ、そうだよなあ」
うーんどうしたものか、と長い沈黙の後、三木さんは、
「繁華街かもしれねえな」と苦々しい口調で言った。