松菱くんのご執心

約束と救済









長いコール音が続き、いよいよ出ないかなと諦めかけていたところに、


呑気な応答が返ってきた。


わたしは慌てて話し始める。



「あ、三木さんですか? わたしです。白羽根 みかさです」


「おうおう。どうした?」


三木さんはやや興奮気味な調子だった。なんで電話番号が分かったのかは聞かれていない。

わざわざ説明するのも、なんなので単刀直入に質問をぶつけた。


「松菱くんが学校来てなくて、あの、何かご存じですか?」


「え? そうなのか。いや、なんも知らねえな。
………それで、あいつには電話したんだよな?」



「はい。したんですけど出てくれなくて……」


「まあ、そうだよなあ」

 うーんどうしたものか、と長い沈黙の後、三木さんは、



「繁華街かもしれねえな」と苦々しい口調で言った。



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