松菱くんのご執心
「松菱くんが、あの二人にとても気を許しているってことは伝わった」


「俺にとって、なんだかんだ大事な人達なんだ。
………つうか、喋りすぎたな、俺。

今まで、喧嘩かバイトかしかしてこなかったから、こんなこと人に話すのは初めてだ」



 それから、たわいもない話を交わし、わたしが帰るタイミングを失った頃。



 松菱くんは時計に目をやった。


「ごめん、みかさ。長いこと引き留めちまった。もう六時だ」身体を半分起こす。



 家まで送ると言い張る松菱くんに押し切られそうになりながらも、まだ日が落ちる前だから心配ないと断った。


病人に送らせるなんてとんでもない。


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