松菱くんのご執心
それが功を奏したのか彼が登校する度に苦い顔をしていたクラスメイトが
「松菱くんは一途で案外思いやりのある人物かもしれない」と解釈しだした。
わたしと松菱くんが話しているだけで、クラス内は、ほんわかとした空気が流れ、熱い視線が私たちに集中した。
数日前とはえらい違いだ。
「冷たい視線も熱い視線も大して変わらねえ、俺が注目を浴びてることには違いないからな」
と三木さんならこういうかも、と話していたのを思い出す。
それが思いのほか的を得ているようにも感じた。
その一連の流れのついでのように、わたしと松菱くんが付き合っている、と広まっていた。