松菱くんのご執心
今となってはもう、四年の月日がたっているんだと懐かしくもあるが、
中学の二年の頃までの爽は前髪で目元を隠し、そのうえ眼鏡をして人との間に大きな壁を作っていた。
今とは違って比較的大人しく、クラスメイトとも距離を置いてしまうような物静かな人物であった。
だから爽とあまり話さなかったのか?
と言われればそんなことは無い。
むしろよく喋ったし、仲も良かった。
そんな爽が一変して例のごとく爽やかな人気者になったのは、中学二年の夏だった。
当時、わたしと爽は同じクラスで、その中でガキ大将の地位にいたのは、須郷という体格の良い男子だった。
わたしがたまたま放課後に忘れ物を取りに教室へ戻った時だった。
教室の扉に手をかけると、中から話し声が聞こえてきた。
中学の二年の頃までの爽は前髪で目元を隠し、そのうえ眼鏡をして人との間に大きな壁を作っていた。
今とは違って比較的大人しく、クラスメイトとも距離を置いてしまうような物静かな人物であった。
だから爽とあまり話さなかったのか?
と言われればそんなことは無い。
むしろよく喋ったし、仲も良かった。
そんな爽が一変して例のごとく爽やかな人気者になったのは、中学二年の夏だった。
当時、わたしと爽は同じクラスで、その中でガキ大将の地位にいたのは、須郷という体格の良い男子だった。
わたしがたまたま放課後に忘れ物を取りに教室へ戻った時だった。
教室の扉に手をかけると、中から話し声が聞こえてきた。