松菱くんのご執心
そういえば、あの時もそうだった。
松菱くんが風邪で休んだ日、真っ先にお見舞いに行くように仕向けたのは担任だった。
絶対に急ぎじゃないプリントをわたしに持たせて、
ちょっと強引だったけど、心配の表れか、無理やりにでもお見舞いに行って欲しかったのだろう。
いやあナイスだよ、ファインプレーだよ先生。
「それで、どうだった? テストの方は」
松菱くんが聞いた。
岡野は姿勢を正して座り直す。
口を真一文字につむりモジモジする姿に、これはダメだったのか、と不安になった。
「……よくぞ聞いてくれたあっ!」
岡野が声を高くする。
「ほんっとにありがとう松菱殿。
僕はこれほどまでに問題をスイスイ解けたのは初めてだ」
立ち上がり熱弁する。
あまりに激しいジェスチャーで、眼鏡が飛び跳ねている。
わたし達一同は、上京したての田舎者のように、背の高い大きいビルを───もとい岡野を眺めた。
松菱くんが風邪で休んだ日、真っ先にお見舞いに行くように仕向けたのは担任だった。
絶対に急ぎじゃないプリントをわたしに持たせて、
ちょっと強引だったけど、心配の表れか、無理やりにでもお見舞いに行って欲しかったのだろう。
いやあナイスだよ、ファインプレーだよ先生。
「それで、どうだった? テストの方は」
松菱くんが聞いた。
岡野は姿勢を正して座り直す。
口を真一文字につむりモジモジする姿に、これはダメだったのか、と不安になった。
「……よくぞ聞いてくれたあっ!」
岡野が声を高くする。
「ほんっとにありがとう松菱殿。
僕はこれほどまでに問題をスイスイ解けたのは初めてだ」
立ち上がり熱弁する。
あまりに激しいジェスチャーで、眼鏡が飛び跳ねている。
わたし達一同は、上京したての田舎者のように、背の高い大きいビルを───もとい岡野を眺めた。