松菱くんのご執心
そして、岡野は眼鏡に手を添えて続ける。


「いやもう、なんとお礼しよう。

これは歴史に名を残しても遜色はない、一刻も早く追伸で付け加えるべきだ。

徳川家康は勉強を教えるのも上手かった、とね」


「そ、そんなにか。
テスト、返ってくるのが楽しみだな。

俺もあんなに必死で教えたのは初めてだから。岡野が出来たんだったら良かった」



「わたしも教えてもらえばよかったなあ」


真結ちゃんは岡野を恨めしそうに見る。


「岡野だけずるい」



「次こそは四人で勉強会しようね」


気を利かせてすっぽかしたらダメだよと、わたしは二人を見た。


「大丈夫、次は行くよ」と二人は言う。


< 68 / 148 >

この作品をシェア

pagetop