松菱くんのご執心
「え、」とわたしは声を出す。



「お前……すげえよ」


松菱くんも絞り出すように言い、


「百点はねえだろ」とけたけたと笑った。



松菱くんの、あまりの爆笑ぶりに教室内が、しんと静まり返った、


かと思うと次の瞬間には、ぶわっと湧き上がるように拍手と笑い声に包まれる。



「すごいよ岡野!」


わたしも自分の事のように嬉しかった。


 それから順調にテストは返され、岡野は劇的な進歩を遂げていた。


全ての教科を九十点以上という驚異的な点数に、

担任も、クラス全体が


「あの岡野が! おったまげた」と目を見開く結果となった。


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