松菱くんのご執心
「みかさ、うさぎさんになってる!」


「ほんとだ、メイド服やめたの? うさぎもいいね!」「可愛いねえ!」



とクラスメイトからも、よく分からないけれど好評だった。




「一名様ご来店でえーす」


 その呼びかけに、わたしは入口へ迎えに行く。


「いらっしゃいま、せ」



 そこに居たお客さんは爽だった。



「みかさ、かわいい服来てるね。似合ってるよ」

例のごとく爽やかな笑みを浮かべる。


「あ、ありがとう。中へどうぞ」




 四人席しか空いていなかったので、そこへ案内する。


 ぎこちなくなっていないだろうか、この前はちょっと強く言いすぎたかもしれないなと思った。




「正攻法じゃなきゃだめた」と言った爽の言葉の意味もわからなかったけれど。


爽がいつも通りならそれでいい。



< 89 / 148 >

この作品をシェア

pagetop