僕が愛しているのは義弟



 テレビを観ていて、しばらくするとスマホの着信音が鳴った。

 オレはスマホを手に取り、見ると……。


「葵だ」


 ……でも、葵は今、誰かと会っているはず。

 そんなときにどうしたんだろうと思いながらオレは着信に応じた。


「もしもし」


『もしもし、隼翔兄』


「どうした、葵」


『あのね、今から友達を一人、家に連れていってもいい?』


 友達……誰だろう。

 オレは葵が誰を連れてくるのか、少し気になった。


「ああ、いいよ」


『ありがとう。じゃあ、三十分後くらいに着くと思うから』


「わかった」


 葵が家に友達を連れてくるなんて珍しいなと思った。

 確かにオレも、あまり人を家に連れてこないけど。


 葵は通話の中で誰を連れてくるか言わなかった。

 一体、誰を連れてくるのだろう。

 一緒のクラスの男子か、それとも葵と同じ美術部の男子か。





 そして葵との通話から三十分後。



 さらに、それから五分後くらいに、


「ただいま」


 葵が帰ってきた。


 オレは、葵が連れてきた友達に挨拶をしようと玄関先まで行った。


 えっ……。


 オレは、葵が連れてきた友達の顔を見て頭の中が真っ白になった。


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