僕が愛しているのは義弟
葵が連れてきた友達は…………ひよりちゃんだった。
「こんにちは、隼翔さん。お久しぶりです。ごめんなさい、急におじゃまして」
オレは頭の中が真っ白になり過ぎて声が出なかった。
……真っ白に……?
いや……違う……?
……オレ……なんか……ショックをおこしている……?
……違う……そんなわけない。
葵がひよりちゃんを家に連れてきたからといってショックをおこすわけがないだろ。
ただ、男子が来るのかと思っていたのが、ひよりちゃんだったから、それで驚き過ぎて頭の中が真っ白になってしまっただけだ。
それに葵が女の子を家に連れてくるのが初めてだったから、葵もそういう年頃になったのだなと思う、そんな兄の複雑な気持ちになっているというのもある。
ただ、それだけだ。
「……隼翔兄?」
……‼
し、しまった。オレが放心状態で一言も話さないから、葵が不思議がっている。
これは何か言わないと……。
「……い、いらっしゃい、ひよりちゃん。どうぞ、上がって」
オレは慌てて、ひよりちゃんにそう言った。
「では、失礼します」
ひよりちゃんは笑顔でそう言ったけど、少し緊張した様子だった。
「遠慮しないで、さあ、どうぞ」