僕が愛しているのは義弟



 ……?

 ……なぜ落ち着かない……?

 なぜ、うろうろしている……?


 ……落ち着け、オレ。落ち着け……。





 そして葵とひよりちゃんが葵の部屋に入ってから一時間以上経つ。

 その時間がとても長く感じた。


 ……ダメだ……気になる……どうしても気になる…………。

 ……どうしたんだ、オレ…………なんで、なんでこんなにも…………。

 ……なんでこんな気持ち…………一体どうしたら…………。



「隼翔兄」


 ……‼


 葵の声でオレは我に返った。


「橘、もう帰るから、オレちょっと送ってくるね」


「隼翔さん、おじゃましました」


「ひよりちゃん、またね」


 オレがそう言うと、ひよりちゃんはペコリとお辞儀をした。


 そして葵は、ひよりちゃんを送っていった。





 ……晩い……。やけに晩い……。

 葵、ひよりちゃんを送っていっただけで、どれだけ時間がかかっているんだ……。


 オレは、ひよりちゃんを送っていっただけなのに帰ってくるのが晩い葵に、少しイライラしていた。

 ……って……なんでイライラしているんだ……?

 そう思っていると……。



「ただいま」


 葵が帰ってきた。


「葵、どこまでひよりちゃんを送っていったんだよ」


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