僕が愛しているのは義弟
夏休み中のある日。
オレは太一と会っていた。
太一と会っている間、オレは、ひよりちゃんが家に来た日のことが頭から離れられないでいた。
葵は、もしかしたら、ひよりちゃんと付き合っているのか……?
……いや、もし葵がひよりちゃんと付き合っていたとしても、オレには全く関係ないだろ。
関係ないどころか、兄として葵のことを応援してあげるべきだよな……。
「……どうした? 隼翔」
太一がオレの様子に気付いた。
太一の声が聞こえてオレは自分の世界に入り込んでいたことに気付いた。
「……いや、なんかスッキリしなくてな」
なぜだか気持ちがスッキリしない。
「スッキリしない?」
「……っていうか…………モヤモヤ……? してな」
なぜだろう、心の中がモヤモヤしている。
「モヤモヤ?」
太一は何のことかわからないという表情をしていた。
それもそうだ。
これはオレが頭の中だけで思っていること。
エスパーでもない限り心の中を読むことはできない。
……そう……だから、オレも葵の心の中を読むことなんて…………。
「……あいつは、友達とか言ってるけど……」