僕が愛しているのは義弟
今日の太一はしつこい。いや、いつもしつこいけど、今日は特にだ。
オレは、今の話を終わらせたくて違う話に切り替えようと思った。
「それよりお前、今度の祭りどうするんだよ。梓のこと誘うんだろ? もう誘ったのか?」
「…………」
「……太一?」
「それなんだよぉ~」
……よかった。話が切り替わった。オレがほっとしていると、
「なぁ、お前も一緒に行かないか?」
太一は、すがりつくようにオレに言った。……しかし太一、オレが一緒に行ったら意味ないだろ。
「なんでだよ。お前、梓と二人で行きたいんじゃないのか?」
「……そんな勇気ない」
太一は、梓と二人で出かけるということに関してはかなり消極的になる。
「なんでだよ。お前、小学生の頃、梓と二人で遊んだことあるだろ」
「何言ってるんだ、隼翔。あの頃とは事情が違うだろ」
……事情? 太一も姉ちゃんと同じようなことを言うんだな。
事情か何かは知らないけど、そんなことを言っていたら、ずっと梓と二人で出かけ
ることはできないぞ、太一。
オレは、太一に梓のことを誘うことを勧めようと思った。
「なんでだよ、誘ってみなければわからないだろ」