僕が愛しているのは義弟
「いや、無理だ。オレは梓と二人きりで行く自身がない。頼む、隼翔。お前も一緒に祭りに付き合ってくれないか。なんだったら、さっき言ってたお前の好きな子も誘ってくれていいから」
話が戻ってしまった‼ 太一のヤツ、どさくさに紛れて話を戻したな。
オレは、また太一に面倒なことを訊かれることを回避するために慌てるように、
「……わ、わかった。オレも祭りに付き合うから」
と、祭りに行くことを付き合うと言ってしまった。
「……本当か? サンキュー、隼翔」
とにかく、さっきの話を太一から遠ざけないと……。オレの頭の中は、そのことでいっぱいになった。
「……それで……隼翔にもう一つ頼みたいことがあるんだけど……」
何を頼まれるか察しが付く。
「……梓には隼翔の方から連絡してほしいんだ」
やっぱり。
「……太一、お前から梓に連絡してみたらいいんじゃないか」
オレは太一に勇気を出してもらいたくてそう言った。
「いや、無理だ。頼む、隼翔。梓に連絡してくれないか」
やはり太一はまだ自分から梓を誘う勇気がないようだ。
「……わかった」
オレは太一の頼みを引き受けることにした。