僕が愛しているのは義弟
オレは自分の部屋を出ると、ちょうど葵も自分の部屋を出るところだった。
「おはよう、隼翔兄」
「おはよう」
「隼翔兄は何時に出るの?」
オレは葵に待ち合わせ時間を伝えた。
「じゃあ、オレたちの方が待ち合わせ時間、一時間早いんだ」
葵はそう言って、リビングのテレビをつけた。
「今日の天気は……晴れだって。よかったね、隼翔兄」
「ああ」
オレと葵は待ち合わせ時間が近づくまでのんびりとリビングで過ごした。
「あっ、そろそろ時間だ。じゃあ、お先にね、隼翔兄」
葵の待ち合わせ時間が近づいていた。
「ああ」
「また向こうで会えるかな」
葵は笑顔で言う。
「かもな」
オレは……なぜか複雑な気持ちだった。
「じゃあ、いってきます」
「ああ」
オレは葵が出かけた後もテレビを観続けていた。
……でも、ただ観ているだけ。内容など全く頭の中に入ってこなかった。
オレは、本当はあまり祭りに行くことは乗り気ではなかった。
もともと太一が梓と二人で行くことができないと言うから一緒に付き合いで行くだけというのもあるかもしれないけど、乗り気でない理由はたぶんそれだけではない。