僕が愛しているのは義弟



 ひよりちゃんは、たぶん葵たちと一緒に祭りに行っていると思う。

 オレは、なぜか見たくないんだ。

 葵とひよりちゃんが仲良くしているところを…………。


「……あっ……そろそろ時間だ……」


 そんなことを思っていたら、いつの間にか待ち合わせ時間に近づいていた。


 そしてオレも待ち合わせ場所へ向かった。





「隼翔‼」


 待ち合わせ場所に着いたら太一がいた。

 そしてオレが着いたすぐ後に梓と梓の友達二人も合流した。


 梓はオレと太一に、梓と一緒に来た梓の友達二人のことを紹介した。

 その二人の名前は、川原夏希さんと眞宮愛梨さん。

 そして続けて梓は、川原さんと眞宮さんにもオレと太一のことを紹介した。


 みんなが集まったところで、オレたちは店をまわった。


 いろいろな店がある。

 梓や太一、川原さんや眞宮さんも、わくわくした様子で店をまわっていた。

 ……オレは……そうでもない。

 オレは店をまわっている間も葵のことを考えていた。

 葵たちといつばったり会うのだろうと周りを見渡していた。



「隼翔‼」


「……‼」


 オレは梓の声で我に返った。


「どうしたの? なんか、ぼーっとしてない?」


 梓はオレの顔を覗き込むように見た。


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