僕が愛しているのは義弟
結局、気が付いたら梓と川原さんと眞宮さんの三人で一組、オレと太一の二人で一組という形になって店をまわっていた。
オレは、梓が友達を連れてくると言った時点で、なんとなくそうなるのではないかと思っていた。
そんなこと太一に言うことはできなかったけど。
梓と川原さんと眞宮さんの三人、オレと太一の二人という組み合わせで、しばらく店をまわっていた。
店をまわっている間に、太一は少しだけ元気を取り戻していた。
オレは、そんな太一を見て少しほっとした。
そうして店をまわっていたとき、突然、強めの雨が降ってきた。
天気予報は晴れだったのにとオレは思った。
オレは天気予報を信じて折りたたみ傘を持ってこなかった。
オレは梓たちの方を見た。
梓と川原さんと眞宮さんは折りたたみ傘を持ってきていた。
まずい、オレと太一は折りたたみ傘を持ってきていないと思っていたそのとき……。
「隼翔、早く中に入れよ」
……太一。
太一は折りたたみ傘を持ってきていた。
「まさか隼翔と相合傘をするとは思わなかったな」
太一は笑いながらオレに言った。
「すまん、太一」
「いいよ。気にするなって」