僕が愛しているのは義弟
オレの目に飛び込んできた葵とひよりちゃんの様子は……とても仲睦まじく感じた。
オレは、葵とひよりちゃんの相合傘の様子を見て……なぜか心が締め付けられるような気持ちになった。
……なんで……なんでこんなにも苦しいんだ。
なんでこんなにも…………。
「隼翔‼」
「……‼」
……太一。
オレは太一の声に驚き過ぎて一瞬、声が出なかった。
「……どうした、太一」
「『どうした』じゃないよ。なにお前、ぼーっとしてるんだよ」
太一にそう言われてオレは我に返った。
「……あっ、いや……」
「梓が、たぶん通り雨だろうから、その間、あそこのカフェでお茶しないかって」
「……そうだな、そうしよう」
オレは葵とひよりちゃんのことが気になったけど、なぜかこれ以上、あの二人のことを見ていたくないという気持ちもあった。
オレは逃げるように梓たちとカフェに入っていった。
しばらくすると、梓の言う通り雨は上がった。
それから少ししてからオレたちは、また店をまわりはじめた。
雨上がりの濡れた道。
オレたちは少し足元を気にしながら歩いている。
ただ、雨上がりの風景も、また少し違った魅力を感じさせてくれる。