僕が愛しているのは義弟



 オレはなぜか少し照れくさかった。

 こういう感じで葵とばったり会ったからなのか。


「隼翔兄も傘、持ってなかったんでしょ? 大丈夫だった?」


 葵がそう訊くと、太一が、


「隼翔はオレと相合傘をしたんだよな~」


「そうなんだ」


「そうなんだよ~。それでさらにオレたちの愛が深まったもんな~」


 太一は面白おかしくそう言った。


「なに気持ち悪いこと言ってるんだよ」


 オレがそう言うと、


「なんだよ、隼翔、そんなに照れることないだろ」


 太一は面白がるように言った。


 オレと太一のやりとりに葵は笑顔が絶えなかった。



 そんな感じでオレと葵と太一が話していると、


「隼翔さん、こんにちは」


 そう声をかけたのは、ひよりちゃんだった。


「やあ、ひよりちゃん」


「この間は、いきなりお家におじゃまして、すみませんでした」


「いいよ、気にしないで。またいつでも遊びにおいで」


「ありがとうございます」


 ひよりちゃんは笑顔でそう言った。


 ……よかった。ひよりちゃんと普通に話すことができる。

 ……って、なぜ、ひよりちゃんと普通に話すことができないかもと思っていたのか……。


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