僕が愛しているのは義弟



 ……普通に話すことができて……?

 ……違う…………偽り……?

 今、オレ、ひよりちゃんとの会話で偽りを言った……?

 『またいつでも遊びにおいで』なんて、本当は少しも思っていない……?

 決してひよりちゃんのことが嫌いなわけではない。

 ……ただ……ただ、これ以上、葵と親密になってほしくない……?

 なぜ……?



「はじめまして。オレは松井太一。よろしくね」


 太一が、ひよりちゃんに声をかけた。


「はじめまして。橘ひよりです。よろしくお願いします」


 ひよりちゃんも太一にそう言ってペコリとお辞儀をした。



「なぁ、ひよりちゃん、お前の家に行ったのか? ということは、やっぱり葵とひよりちゃんは付き合っているのか?」


 太一はオレに小声で訊いてきた。


「そんなこと、オレが知るわけないだろ」


 太一の言葉にオレはなぜか不機嫌になった。


「なんでだよ。弟のことなのに知らないわけないだろ」


「知らないものは知らないんだよ」


「じゃあ、わかったらオレに教えてくれよな」


 太一は、葵とひよりちゃんのことになぜか興味津々の様子だった。


「なんでお前に教える必要があるんだよ」


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