僕が愛しているのは義弟



 オレは、葵とひよりちゃんのことに興味津々の太一になぜかムカついていた。

 オレは心の中で太一に『もう二度と訊くな』と思った。



「葵、ひよりちゃん」


 そして葵とひよりちゃんの名前を呼ぶ梓の声がした。


「久しぶり。確か、私が隼翔に理久の誕生日プレゼントを買いに行くのを付き合ってもらったときに偶然会った以来よね」


「そうだね。そうか、もうそんなに経つんだ」

 と、葵。


「そうですね」

 ひよりちゃんも梓にそう言った。


 梓は、葵とひよりちゃんに友達の川原さんと眞宮さんのことを紹介した。

 続いて梓は、川原さんと眞宮さんにも葵とひよりちゃんのことを紹介した。


 そして葵も、他の美術部の仲間たちにオレたちのことを紹介した。



 せっかくこうしてばったり会えたことだし、みんなで店をまわろうということになった。

 オレたちの方は五人。

 葵たちの方は七人。

 合わせて十二人。

 十二人で店をまわるのはかなりにぎやかだ。

 そのにぎやかなおかげで、オレは葵とひよりちゃんの仲睦まじかった(?)相合傘のことを考え込まずに気をまぎれさせることができた。


 こうしてオレたちは時間が許す限り店をまわり続けた。


< 129 / 354 >

この作品をシェア

pagetop