僕が愛しているのは義弟



 いつ来てもこの場所は、とても自然が美しい。

 緑も美しく、花も美しい。

 風で葉が揺らぐ音も美しく、この空間の全てが美しい。

 そして、ここから見る空も雲もいつも以上に美しく見える。

 夜になると満天の星空が輝きを放つ。


 その場所にオレは無意識のうちに来ていた。

 きっと心の奥底で求めていたのかもしれない。


 オレにとって、この場所は特別な空間だ。


 現実にはない、まるで夢の空間にいるかのようだ。


 ここにいると元気がもらえる。


 そしてオレの心をやさしく包んでくれる、そんな場所だ。


 そんな特別な場所でオレは一人、心を静めた。


 オレはこれからどうすればいいのか……。


 この空間にやさしく吹き込んでくる風をオレの心の中に吹き荒れている嵐の中に取り込んで静かに中和させようとした。

 静かに、ただ静かに…………。



 しばらくするとオレの心の中は少しだけ和らいだ気がした。


 この空間は本当に夢の空間なのかもしれない。

 まるで魔法がかかったようにオレの心を癒してくれる。

 ひょっとしてこの空間には本当に人の心を癒してくれる不思議な力が宿っているのかもしれない。


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