僕が愛しているのは義弟(おとうと)
オレは頭の中が冴えないままダイニングルームへ向かった。
階段をゆっくりゆっくりと気が抜けたような感じで降りていった。
「おはよう」
ダイニングルームに入ったらすでに葵がいた。
「……おはよう」
さっきの夢のせいか気まずい気持ちになってオレは葵の目をまともに見ることができなかった。
よく晴れた朝。
今日は一日中晴れると天気予報で言っていた。
今日は、母さんと義父さんは夫婦水入らずで日帰り旅行に行っているし、姉ちゃんも朝早く出かけていったから晴れてよかったと思った。
なので今日は葵と二人で朝食の準備。
いつもは母さんが用意してくれているから、こうして葵と二人で食事の準備をしていると、改めて母さんにとても感謝の気持ちでいっぱいになった。
オレもそうだけど葵もあまり料理はしていないはず。
だけど葵が料理を作っている様子を見ていると、葵は料理を作ることが上手だと思った。
確かに母さんが作るみたいな本格的な料理ではなく簡単なものだけど、葵は手慣れた様子で淡々と料理を作っていた。
気が付いたらオレは葵の補助係になっていた。
「隼翔兄、お皿出して」「隼翔兄、サラダ盛り付けて」と葵に頼まれたことをオレはただ、ひたすらこなしていた。