僕が愛しているのは義弟



 その間もオレは、ずっと考え事をしていた。

 葵と二人きり……どうしよう…………。

 ……というか、葵と二人きりだからって、なぜこんなにも緊張しなければいけないのか……。

 葵は男子だ。

 そして弟だ。

 オレは何度も自分に言い聞かせた。

 ……というか、そもそもなぜ言い聞かせなくてはならないのか……。

 あぁ、疲れる……。

 なぜか疲れる…………。


 そんなことを考えていたら、いつの間にか後片付けが終わっていた。


「隼翔兄、昼ごはんはなに食べる?」


 後片付けが終わって早速、葵はそう訊いた。


「なに食べようか」


「オレも考えておくから、隼翔兄も考えておいて」


 葵はやさしい口調でそう言った。


「ああ」



 オレと葵はリビングで少しだけテレビを観てから、お互い自分の部屋に入っていった。



 そしてオレはベッドに寝そべっていた。

 寝そべって、ぼーっと天井を見つめた。

 ただ、ぼーっと見つめて…………。

 そしてオレは何も考えることもなく時間が過ぎていった…………。





 しばらくすると、オレの部屋のドアをノックする音がした。


『隼翔兄、ちょっといい?』


 オレは慌ててベッドから起き上がった。


「……ああ」


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