僕が愛しているのは義弟



 こんなことを訊いて何になる……。

 そんなことを言ったら葵が……オレが……傷つくだけなのに…………。


「えっ……隼翔兄、何を……」


「やっぱり? そうだろ」


 もう……オレ…………。


「違うよ、隼翔兄。オレと橘は付き合ってないよ」


 葵の言う通り、そうなのだろう。

 ……なのに……なのに、オレ……。


「またまたぁ~、そんな照れちゃって」


 もう、ダメだ…………。


「隼翔兄、オレは橘と本当に付き合ってないんだってば」


 うん……わかってる……。

 もう、わかってる……。


「えっ、そうなの?」


 それなのに……オレは…………。


「だから、そうなんだってば」


「……ふ~ん。でもさ、それってあくまでも今は付き合ってないというだけの話だよな」


 また……また何を言う気なんだオレは……。


「え……」


「だったらさ、心の中で想っているのは、また別の話になるよな」


 オレは………………。


「隼翔兄……?」


「というわけで、お前、ひよりちゃんのこと、どう思ってるんだよ」


< 149 / 354 >

この作品をシェア

pagetop