僕が愛しているのは義弟



 いっそのこと、オレの方から決めつけてしまえば……楽になる……?


「何を言っているの、隼翔兄」


「『何を』って、照れることないじゃないか」


 決めつけてしまえば、少しは苦しまずに傷つかないですむのかな……?


「今日の隼翔兄どうかしてるよ」


 ……そうだな……どうかしている、オレ。


「何でだよ。お前、ひよりちゃんとあんなに仲が良いじゃないか」


 ……苦しい……まだ、苦しい…………。


「別に、橘とはただの友達だよ。隼翔兄だって梓ちゃんと二人でどこかに行ってるじゃない。それと同じだよ」


「まだ照れてるのか。かわいいな、お前」


 こんなに決めつけているのに……なんで……なんで……こんなにも苦しいんだ…………。


「隼翔兄、何でそんなことを言うの」


 こんなにも苦しいのは、きっと決めつけが足りないんだ。なら……。


「お前、付き合ってないって言ったけど、実はもうとっくに、ひよりちゃんと付き合ってるんじゃないか」


 もっと、もっと、決めつけてしまえば…………。


「いい加減にしてよ‼ 隼翔兄‼ ……何で……何で、そんなことを言うの?」


「…………」


 ……本当だ……。

 オレ、何でこんなことを…………。


< 151 / 354 >

この作品をシェア

pagetop