僕が愛しているのは義弟



 えっ……ちょっと……待ってくれ……葵……。

 ……この状況……まるで……今日、オレが見た夢そのものだ……。

 オレはそのときと同じように追いかけて葵の手を握りしめた。


「……何だよそれ。自分の気持ちだけ言ってそれで終わりかよ。オレの気持ちも知らないで…………」


「隼翔兄……?」


「……オレは……オレも……お前のことが…………好……きだ…………もちろん、オレも弟としてではなく……お前のことが好きだ」


 オレは恥ずかしさのあまり、葵の顔をまともに見ることができなかった。


「隼翔兄……」



 そのとき一瞬、オレと葵の空間だけ時が止まったように感じた。


 
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