僕が愛しているのは義弟
「隼翔兄の心臓の音、やさしい音。心が落ち着く、とてもやさしい音」
「…………」
オレは恥ずかしさのあまり言葉が出なくなった。
心臓のドキドキはなかなか治まらないし、それプラス顔から火が噴くような勢いで血が上っている。
今、オレの顔に生卵をおいたら確実に目玉焼きができるだろうと思うくらい顔が熱くなっている。
「隼翔兄……」
オレはどう返答すればいいんだ。
オレが返答に困っていると、葵が少しだけオレから離れた。
そして純粋な眼差しでオレの方を見た。
オレは葵のその純粋な眼差しに心を奪われたように、ぼーっと立ち尽くしていた。
そして、そんなオレの手を葵はそっと掴み、掴んだオレの手をそのまま葵の胸元に……。
「ほら、オレもこんなにドキドキしてる」
葵はそう言うと恥ずかしそうな様子で頬をピンク色に染めながら、はにかむような笑顔でオレの方を見つめた。
オレはそんな葵がかわいくてたまらないと思った。
そしてオレは葵をもう一度抱きしめた。
まだドキドキが治まらない。
でも、このドキドキも葵のことを想っているからだと思うと、とても温かくて幸せな気持ちになった。