僕が愛しているのは義弟
……あっ……。
オレはとても幸せな気持ちになり過ぎて肝心なことを言いそびれてしまいそうになった。
葵にさっきのことを謝らなくては……。
オレは葵のことを抱きしめながら静かに心を落ち着かせ、そしてゆっくり一言一言丁寧に……。
「葵……さっきは…………ごめん……。オレ、どうかしてた。本当に悪かった…………」
オレはそう言うと、もう少し強く葵を抱きしめた。
「オレの方こそごめん。オレにとって橘は友達で同士みたいな存在なんだ。そうとはいえ、一人の女の子を家に連れてくるなんて、あまりにも無神経だったと思う」
葵はすごく申し訳なさそうにしていた。
葵は全く悪くないのに。
「葵が謝ることはないよ。無神経なのはオレの方だ。お前とひよりちゃんのことを茶化すようなことを言ってごめん」
「隼翔兄、謝らないで。オレが橘のことをもっとちゃんと話すべきだったんだ」
「そんなことない、葵はそれでよかったんだ。オレがもっと冷静に考えることができていれば……オレが勝手にいろいろ考え過ぎたから……」