僕が愛しているのは義弟
そして昼休みには遼祐のもとに女子たちが集まった。
女子たちの連発する質問に遼祐は爽やかに返答した。
その度に女子たちの黄色い声が上がった。
* * *
そして放課後。
オレと遼祐は帰る方向が同じだった。
オレは遼祐と一緒に帰った。
「隼翔は兄弟いるの?」
遼祐はオレにそう訊いた。
「姉ちゃんがいる。あと弟がいるんだけど、その弟は母さんの再婚相手の息子だから
正確には義理の弟になる」
「そうなんだ」
「遼祐は? 兄弟いる?」
オレも遼祐に同じことを訊いた。
「弟と妹がいる。弟は小学六年生で、妹は幼稚園年中。二人とも元気いっぱいで、一緒に遊んでいると、その元気に負けてしまうよ。若いな、二人は。ってね」
「……『若いな』って、オレたちも十分若いだろ」
「そうだね」
遼祐はそう言うと、オレと顔を見合わせて一緒に笑った。
「あっ、じゃあ、オレ、こっちだから」
「おう。じゃあ、遼祐、また明日な」
「じゃあ、隼翔、また明日」
そして家に着いて中に入ると、
「おかえり、隼翔」
葵はすでに帰っていた。
オレのことを『隼翔』って言ってるってことは、今、家の中にはオレと葵の二人だけってことか。