僕が愛しているのは義弟

　何を言えば葵の機嫌が直るのか、オレは、あれこれ言葉を探していた。


「遼祐さんと友達になることをどうのこうの言っているわけじゃないよ」


　葵……？


「えっ……じゃあ……？」


　オレはなかなか葵の心を感じ取れずに苦戦していた。


「もう、隼翔‼」


　葵はふくれてしまった。


「えっ……？」


　オレはお手上げ状態になってしまった。


「……だから……オレの前で……オレ以外の人の話を楽しそうにしないで」


「……葵……」


　そういうことだったのか……。

　オレはあまりにも葵の気持ちに気付かなさすぎの自分に『なんでもっと葵の気持ちに気付いてやれないんだ』と心の中で思った。


「わがままかもしれないけど、隼翔にはオレのことだけを見てほしい。他の誰のことも見てほしくない。隼翔の頭の中をオレでいっぱいにしてほしい。……ごめん、本当にわがままだよね、オレ」


　……葵……。


「お前はわがままなんかじゃない。オレが悪かった。悪気はなかったとはいえ、葵の気持ちに気付かずに遼祐の話ばかりしてごめん」


　本当にごめん、葵……。


「謝らないで、隼翔。隼翔が悪いわけじゃないから。オレがわがままだっただけ」