僕が愛しているのは義弟



「遼祐」


 そこには遼祐がいた。


「奇遇だな。ここで会うなんて」


「そうだな」


 オレは、葵と遼祐にお互いのことを紹介した。


「遼祐、弟の葵。葵、同じクラスで友達の遼祐」


 遼祐が目の前にいるのに、葵に『さっき葵に話した遼祐』とはさすがに言えなかった。


「はじめまして、葵くん」


 遼祐は爽やかな笑顔で葵に挨拶をした。


「こんにちは。はじめまして」


 葵も遼祐に挨拶をした。

 葵は初めて会った人には少し緊張してしまうところがあり、それでだと思うけど葵の表情は少し硬くなっていた。


「夕飯の買い物?」


 遼祐はオレにそう訊いた。


「ああ。今日、母さんの帰りが晩いらしくて買い物を頼まれたんだ。遼祐も?」


「オレは、たまに夕飯の買い物に来ている。料理は母さんが作ってくれているんだけどね。でもたまに休みの日にオレが作ったりもしている。オレ、結構、料理を作るのが好きでさ」


 爽やかでイケメンで、おまけに料理を作ることもできるのか。これはモテるな。


「へーえ、すごいな」


 オレは、料理を作ることができる遼祐のことを感心した。


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