僕が愛しているのは義弟
「別にすごくないよ。趣味みたいなものだから」
遼祐は謙遜しているけど、オレにとってはすごいこと。
「オレは絶対に無理だな。料理を趣味にするのは」
「あはは、そうなんだ。あっ、じゃあ、そろそろ行くな。また明日な」
「ああ、また明日」
買い物が終わってその帰り道。
「あの人が噂の爽やか男子の遼祐さん。爽やかでイケメンで、おまけに料理を作るのが上手だなんてモテる要素いっぱいだ」
葵は突然そんなことを言った。
きっと店の中では言うことを控えていたのだろう。
そう言った葵は少しふてくされながら少し早歩きになった。
葵の後ろを歩いているオレは、また戸惑ってしまった。
「あ……葵……」
オレは戸惑いながら葵の名前を呼んだ。
すると、早歩きをしていた葵の足が突然止まった。
そして葵はチラッとオレの方を振り返った。
「……なんてね」
葵は少しだけ舌を出して無邪気な笑顔を見せた。
「葵‼」
オレは葵の髪をやさしくクシャクシャっとした。