僕が愛しているのは義弟



 オレがそう思いながら葵に寄り添っていると、葵がオレの手を握った。オレも葵の手を握り返した。


 葵と寄り添い手を握り合っているオレは、今、葵のことをものすごく抱きしめたかった。

 でも、他の部屋には母さんたちがいる。

 だからそれはできないと思った。

 もし急に母さんたちがオレの部屋に入ってきて、そのときに葵のことを抱きしめていたら、とっさに離れることは難しい。

 確かに母さんたちも自分の部屋に入る以外は、ちゃんとドアをノックしてくれている。

 でも、もしそのときに葵のことを抱きしめていたら、そのことに夢中になっていてドアをノックした音に気付かないかもしれない。

 だから、どちらにしても、そのときに葵のことを抱きしめているのは、やはりリスクがある。

 そう思うと葵のことを抱きしめることが…………でも…………我慢できない…………。

 オレは葵のことを抱きしめたくてたまらなかった。

 そしてオレは葵を抱きしめた。


「ほんの少しだけ……」


「……うん」


 葵も察してくれた。


 そしてすぐにオレと葵は寄り添う感じに戻った。


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