僕が愛しているのは義弟
オレも本当は葵と普通のカップルのように街中で手をつないだり腕を組んだり、動物園や植物園や水族館や遊園地に行ったりイルミネーションを見に行って、そこで葵と恋人つなぎをして歩きたい。
……でも……オレは一体何をためらっているのだろう。
オレは葵が好きだ。
好きで好きでたまらない。
その気持ちに噓も偽りもない。
なら、それだけで充分。
その気持ちさえ確かなら誰に何を思われようが関係ない。
だから葵と、いつどこに行こうが、それを誰に見られようが関係ないはずだ。
……それなのに……オレは何を恐れているのだろう。
どうして堂々とすることができないのだろう。
……オレは……最低だ……。
……オレは……オレは…………。
「……隼翔?」
……はっ‼ オレ……今、どんな顔をしていた……?
オレの様子を見て葵が不安そうに見つめている。
……オレは……なんてヤツだ。
葵をこんなにも不安にさせて…………ごめん……葵……。
……オレ……。
オレは、葵の不安や辛さや悲しみの表情を見るのは辛い。ものすごく辛い。
そして表情だけではなく、そういう気持ちにさせるのも辛い。