僕が愛しているのは義弟
そしてやっとオレは気付いた。
一体、何をやっているのだろうと。
葵をこんなにも不安や辛さや悲しい思いをさせて、そんなこといいわけがない。
もう葵にそんな思いはさせたくない。
だからオレは決めた。
「……今度、行くか、どこか。葵が行きたいところに」
「……隼翔」
葵の表情が変わった。
「ありがとう、隼翔。オレ、嬉しいよ」
葵は笑顔に戻った。
やっぱり幸せだ。
葵の笑顔を見るのは。
オレは、その笑顔に吸い込まれるように葵を抱きしめた。
「……隼翔……」
オレは何も言わずに、ただ葵を抱きしめ続けた。
「……絵画展……隼翔と絵画展に行ってみたい」
オレは、葵が行きたいところを言ってくれたことがとても嬉しかった。
「ああ、行こう。絵画展」
「嬉しい、隼翔」
葵はそう言うと、さらにぎゅっとオレに抱きついた。
オレも、もう少し強く葵を抱きしめた。