僕が愛しているのは義弟(おとうと)
太一と話が終わり、オレはそろそろ帰ろうと思った。
遼祐の方は、そろそろ帰るのかどうするのかなと思い、もう一度、遼祐の方を見た。
遼祐は、まだ女子たちとの話が終わりそうにない。
オレは遼祐にそろそろ帰るかどうするかと声をかけようか、それともそのまま帰った方がいいのかと迷っていた。
もし女子たちと話している途中で遼祐に「帰るけど、どうする?」と大きな声で訊くと、女子たちとの会話に水を差すかもしれないし、それになによりも女子たちがオレに『なに佐野くんとの会話を邪魔してるのよ』とにらんでくるかもしれない。
そう思うと、これは遼祐に声をかけたらまずいと思い、オレは遼祐にジェスチャーで『先に帰る』と合図をした。
遼祐は「ちょっと待って、隼翔。オレも今帰るから」と言って、女子たちにやさしく「じゃあね」と言って、オレと一緒に教室を出た。
学校を出たオレと遼祐。
「隼翔、これから少し時間ある?」
学校を出た後すぐ遼祐がそう訊いた。
「ああ、あるよ」
「今から図書館に行かない? たまにはそこで隼翔と一緒に宿題でもしようかなと思って」
「ああ、それいいな」
そう決まったオレと遼祐は図書館へ向かった。