僕が愛しているのは義弟
葵はとても穏やかな表情だ。そんな葵の表情は、とても美しかった。
オレは、そんな葵に見とれてしまった。
また違った一面を魅せた葵に、オレは、より魅力を感じた。
オレは葵のその魅力に吸い込まれそうだった。
だけど、ここは絵画展の会場の中。公衆の面前でオレの今の気持ちを全面に出すわけにはいかない。
……『愛している』……。
オレは葵のことを好きという気持ちから愛しているという気持ちに変化していた。
オレは日に日に葵への気持ちを募らせていく自分に気付いている。
もう、どうしようもないくらいに……。
……でも、ここは絵画展の会場の中。
オレは心の中で何度も自分を落ち着かせた。
絵画展の会場を出た、オレと葵。
「今日の絵画鑑賞は隼翔と一緒だったから今までよりももっとよかった」
葵はとても笑顔だ。
葵のその笑顔があまりにも可愛くてオレはドキドキが止まらなかった。
「隼翔は? どうだった? 絵画鑑賞」
葵の突然の質問にオレは激しく動揺した。
「……うん、よかったよ」
……本当は葵のことで頭がいっぱいで絵画鑑賞どころではなかった。
それを葵には言えない、なんとなく……。