僕が愛しているのは義弟(おとうと)
同じがいい
十二月に入って外の空気がだいぶ冷たくなってきた。
朝起きるとき布団から出るのが辛い時期だ。
オレは勇気を出してベッドから起き上がりストーブを点けた。
そして窓のカーテンを開け、たっぷりと入り込む朝の陽射しに向かって思いっきり体を伸ばした。
そのとき『コンコン』とドアをノックする音がした。
オレは伸ばしていた体を元に戻し、ドアの方へ向かった。
そしてドアを開けた。
「あれ?」
ドアを開けたけど、そこには誰もいない。
オレは周りを見渡そうと廊下に出ようとしたそのとき……。
「わっ‼」
「……‼」
オレはビックリし過ぎて一瞬、声が出なかった。
「あ……葵……ビックリするだろ」
葵は無邪気な笑顔でオレを見る。
葵は、オレがドアを開けたときにできる死角に隠れていた。
「そんなに喜ぶなよ、葵」
「ふふっ、だって……」